第九回 もしかして、臭ってる?? -口臭について-

口臭とは?

みなさんは今までに他の人から口が臭いと言われたり、自分や他の人の口の臭いが気になったりしたことがありませんか?
話したり口から息を吐いたときに出る嫌な臭いを口臭といいます。
この口臭の正体は、口の中の細菌から発生するガスと肺からでるガスが混ざったものです。

口臭の原因

口臭の原因は複数ありますが、大きく分けて「生理的口臭」、「食べ物・喫煙による口臭」と「病的口臭」があります。

生理的口臭

起床時、空腹時、緊張時、ストレスや睡眠不足等により一時的に唾液の分泌が減少する事によって口の中が乾燥し、細菌が増殖することによっておこります。

また、女性の生理時などホルモンバランスが変化し抵抗力が低下すると、口の中の細菌が多くなり口臭が発生する事もあります。これらは一過性のものなので時間の経過と共に薄れていきます。

食べ物・喫煙による口臭

ニンニクなど臭いのきつい食品やお酒、喫煙等によりおこります。

①にんにくの成分アリシンが人体に入るとアリルメルカプタンに変化し、血液を通り肺を経由して吐き出すと、嫌いな臭いが発生し強い口臭の原因になります。

②お酒による臭いは殆どがアルコールや分解中のアルデヒドによるもので、血流にのって肺や粘膜から臭いとなって出てきます。

また、アルコールは利尿作用があるため脱水症状を起こしやすくなり、起きているときでも唾液の分泌が抑制され、唾液による殺菌作用、自浄作用、PHを中性に保つ緩衝作用が低下するからです。

③喫煙は、タバコの3つの成分タール・一酸化炭素・ニコチンが唾液の分泌量を低下させて、歯垢や歯石が付着しやすい口内環境を作り、口臭がでます。

病的口臭

これらは治療が必要になります。

①虫歯や歯周病、舌苔などで口の中の細菌が増えたり、歯石が多く付いていたり、唾液の量が少なくなると細菌が増殖しやすくなるので口臭がおこります。

割ときつい口臭で、慢性的のため自覚症状が無い場合が多いです。

②糖尿病や蓄膿、消化器の病気など内科的な病気や口腔や上気道の悪性腫瘍の感染が原因で起こる場合もあります。

口臭の対策

今回は、歯科で口臭治療をする場合について説明します。
先ほど説明したように、口臭の原因はいろいろありますが、その90%以上は口の中の細菌が発生させ るガス=揮発性硫黄化合物によるものです。また口の中の疾患によって炎症が起こり、それがもとで臭気物質が発生することがあります。

虫歯や歯周病、舌苔などが原因の場合

先にその治療や適切なブラッシング方法の指導を行い、口の中の細菌量を減らしていきます。細菌が石灰化した歯石を除去することは重要で、時には歯周ポケット内に深く蓄積した歯石除去も必要です。そして口腔内を清潔に保てるように定期的な歯科での検診などを行っていきます。

唾液が少ない場合

唾液には口の中を洗浄する自浄作用があり、歯の表面に付着した食べカスを洗い流しガスを発生させ る細菌の増殖を抑制するので口臭を予防することができます。また、口臭の原因であるガスが拡散するのを防ぐ効果もあります。唾液を増やすには、以下のような方法があります。

①まず唾液が減る病気がないか調べる ⇒ ドライマウス検査
②舌や口の筋肉を鍛えて、大唾液腺を刺激する
③よく噛んで食事する
粘膜マッサージにより小唾液腺を刺激する
症状によっては、就寝時の乾燥を軽減するモイスチャープレートと呼ばれるマウスピースの作成や、唾液分泌を促すサプリメントや薬剤の摂取が必要になります。

プロバイオティクス療法による細菌対策

口腔細菌による口臭は、口の中の悪玉菌の量が多いことを意味しており、むし歯や歯周病の原因にもなります。そこで、口腔中の善玉菌=ストレプトコッカスサリバリウスK12を供給することにより、悪玉菌を相対的に減らしていくプロバイオティクス療法も大変口臭・むし歯・歯周病等に対して有効です。

口臭に気づいたら

口臭の原因の中には、口腔・上気道悪性腫瘍の細菌感染や内科的疾患等の重篤な病気が原因の場合もありますので、まずは自己判断せずに歯科医院への受診をお薦めいたします。