第八回 治療から予防医学へ -病気を遠ざけるサプリメント療法-

口腔と全身の関係とは?

口腔や歯の健康増進は、全身の健康にとっても非常に大切なものです。

近年、口腔の疾患が糖尿病・高血圧症・動脈硬化などの生活習慣病や誤嚥性肺炎・早産などに深く関わっていることが分かってきています。口腔内を清潔に保つことはもちろんのこと、生活習慣病の予防という観点からライフスタイルの改善、なかでも栄養管理をしっかり行うということが口腔疾患や老化予防の上で重要性が注目されるようになりました。

つまり、口腔内の健康が全身の健康につながり、逆に全身の健康が損なわれれば口腔にも影響するということなのです。

歯科では、『咀嚼・消化(唾液)・発音・発声・味覚・食感・表情(外観)・嚥下・吸う・吹く』などの機能改善の治療に関してはもちろんのこと、病気の兆候が出やすい粘膜・舌や歯肉を直接診ることができるということで、体調の変化や生活習慣病の予兆を早期に発見できる可能性が高いと言えます。

いざ病気になってしまったら治療が必要となります。その治療法の第一選択は、残念ながら医薬品に頼っているのが現状です。(日本は、先進国の中でも珍しく薬剤大国の名をほしいままにしているのです。)

医薬品は病気の治療を目的として、普通の生活では人体に存在しない様々な物質を体内に送り込むものです。そのため副作用があり、望ましくない作用も少なくありません。また医薬品が、病気になった原因の体質そのものを健全にするわけではありません。

したがって、できれば病気になる前に未然に防ぐ、あるいは病気になりにくい体質にすることがこれからは予防医学の観点で重要であると考えられています。

それを実践するために、医薬品ではなくサプリメントによる予防が提唱されているのです。

飽食の時代になぜサプリメント?

サプリメントは直訳すると「追加」「補足」という意味です。

「サプリメントを摂っていれば食事はなんでもいい?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまでも補助的なものなので決して食事の代わりではありません。

サプリメントは食生活で不足する栄養成分、または通常の食生活に追加して摂取する事で健康の維持・増進に役立つ栄養成分を含む食品です。

基本はきちんと食事していただくことが大切です。

あくまで「サプリメントは薬ではない」ということを念頭においてください。

では、どうして今サプリメントがこんなに流通しているのでしょうか?

微量栄養素不足は、現代人の90%に影響しているといわれています。

「現代人の食生活」 や 「現代の食品自体の問題」を考えると、健康維持に必要な栄養素全てを普段の食事から摂取するのは難しくなっています。

加工食品の増加や化学肥料や農薬の使用、ハウス栽培、酸性雨などが原因になり、ほとんどの野菜の栄養含有量は40年前に比較すると50%以下に減少しています。

つまり、40年前に野菜から摂れた栄養素と同じ量を摂取するには、今は倍以上の量を食べなければならず、本来必要な栄養素が不足していることが普通となってしまったのです。

そこで現在の食生活では不足しがちなビタミン・ミネラル・その他の栄養素を簡単に補給できるようにと考えられた食品がサプリメントなのです。医薬品のような治療効果を期待するのではなく、体の栄養バランスを整え、人間が本来持っている自然治癒力や免疫力を高めて、病気にかかりにくく老化しにくい身体を作る目的で作られたものです。

人の身体は生きていくにつれ酸化していくとされています。

酸化とは鉄が酸素と結合して錆びてしまうように身体も活性酸素によって酸化されます。

活性酸素とは、普通の酸素と比べて酸化する力が非常に強い酸素です。

呼吸するだけでも、取り入れた酸素の約2%位が活性酸素になると言われています。

その他、紫外線、激し過ぎる運動、喫煙、排気ガス等により活性酸素は増加します。

本来活性酸素は、体内の酵素反応を促進させたり、強力な殺菌作用で病気になるのを防いでくれたりと体にとって大切な作用を持っています。

しかし、過剰になると自分の身体の細胞を攻撃してしまうので、老化を進め、癌や脳梗塞、動脈硬化などの生活習慣病を引き起こす可能性が高くなります。

このような身体の酸化を防ぐ『抗酸化力』のある成分を主体にしたサプリメントは、最も注目されています。

サプリメントってなんでも同じ?

サプリメントなんて最近どこでも売っているし、とにかく栄養を補えばいいのだから安い物がいいと思いますよね?

でもサプリメントは何でも同じではないのです。ラベルだけではわからない差が実はあるのです。 多くのサプリメントの中で、当院では分子整合栄養学に基づいたドクターズサプリメントを取り扱っています

分子整合栄養学の概念

身体の不調は、加齢やストレス、遺伝的体質、不適切な食生活や生活習慣、飲酒、喫煙等々の原因により、体内の細胞のさらにその中の分子が、本来あるべき正常な状態で無くなることに起因しています。

人体のしくみを分子レベルで分析、理解し、不足している栄養素を至適量補給することにより、自らの自然治癒能力を強化することによって健康回復したり、未病を防いだりすることです。

当院で取り扱っているサプリメントのほとんどは、品質、効能、安全性、信頼性の優れた国内GMP対応工場の生産品を中心に、海外製品もそれに匹敵する製品を厳選しており、これらの多くは自己判断による誤った摂取を防ぐため一般市販されていないものがほとんどです。

市販のサプリメントに多くみられるような、添加物が多く主成分自体の含有量が低い、天然成分は少なく合成成分が主原料、成分表記が曖昧、安価にするため原料は中国や中東産といった製品ではなく、天然成分から製造した主成分を多く含み、全成分を表記された製品を扱っています。

患者様の症状によって

①各種検査などを行って、その方に真に必要な栄養素を補給するフルオーダーサプリメントや

②問診や症状から選定するドクターズサプリメント

を取り扱っています。

サプリメントってなんでも同じ?

当院で取り扱っているサプリメントのうち、特に歯科口腔領域において特徴的なものを幾つか抜粋してご紹介します。

インプラントサポート

マルチビタミン&ミネラルの歯科用スペシャル版。
骨組織や歯肉の土台となるコラーゲンを作る働きをしているビタミンC、 骨の構成要素として重要なカルシウム、腸管からのカルシウムの吸収を 促進するビタミンD、体内でカルシウムの活用をサポートするビタミンK などを強化して設計してあります。

骨の充分な栄養素と術後の回復に必要な栄養素を効率的に摂取できるように 配合されています。カプセル状なので、マルチビタミンミネラルの酵母の味が 苦手な方にもお勧めです。

現在、インプラント治療をされる患者様の中には、抜歯後の骨の再生をうながすために、インプラントサポートを摂取していただくことがあります。

骨の再生の遅い高齢者や、骨粗鬆症傾向の強い更年期以降の女性で、手術前にある一定期間摂取していただいた場合、摂取しなかった場合に比べると、骨の量だけではなく質的にもより良い状態でインプラント手術を行うことが多くなりました


フレックスサポート

顎関節症(顎が痛い、口が開けにくい、口を開けるときカクカク音がする)の方に お勧めしています。

N-アセチルグルコサミン(関節部の軟骨・関節液に多く含ま れている成分で、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸を生成)配合。

医薬品や一般のサプリメントに使用されているグルコサミン(塩酸塩)と異なり、 もともと体内に存在するN-アセチルグルコサミンと同じ形のため、体内での 利用率が通常販売されているグルコサミンよりも約3倍向上するといわれています。

顎以外の関節痛にももちろん効果が期待できます。 (*エビやカニ由来の原材料を使用しておりますのでアレルギーの方はご注意下さい。)

当院では顎関節症の患者さんに対して、他の治療と併用して摂取して頂くことがあります。特に、他の治療では痛みが消えにくい患者様にご好評です。


アスタリールACT

今注目のアスタキサンチン(抗酸化力に優れた天然カロテノイドの一種)が1粒6mg配合されています。抗酸化力はコエンザイムQ10の約800倍、ビタミンCの約6,000倍ともいわれています。紫外線などによって発生する活性酸素から肌を守り、健やかに保ちます。

アスタリールは身体の酸化予防、アンチエイジング(抗加齢)として活用されています。

眼の疲れ、冷え性、身体の疲労の回復といった効果以外に、口腔領域ではドライマウス(口腔乾燥症)や口内炎などの粘膜疾患にも効果があるといわれています。

ビタミンCやコエンザイムQ10とともに適切に摂取することにより放射線被ばくを強力に防ぐ事ができると発表されています。


プロバイオK12

口腔内に唯一存在する善玉菌K12菌を移植し定着させることで、K12菌が抗菌たんぱく質 を産生して歯周病、口臭、むし歯などの原因となる悪玉菌の増殖を抑制し、口腔内のバラ ンスを調節できる世界で最初に発見されたプロバイオティクスです。

『プロバイオティクス』

腸内ではビフィズス菌に代表される善玉菌と、健康に有害な働きをする悪玉菌が絶えず 勢力争いをしています。私達が健康な生活を営むためには、この細菌がバランスよく保た れているということが必要不可欠です。

プロバイオティクスとは、人間の体内にとって都合の良い善玉菌のこと、あるいはこれら の善玉菌を増やして細菌のバランスを保ち病気になりにくい身体を作る予防医学の考え方を意味します。

プロバイオK12は最低でも6ヵ月継続して頂くことにより口腔内の悪玉菌は激減し、特に嫌な口臭はほとんどなくなります。

患者様自身が実感していただけます。予防のためにも継続して摂取されてる方が非常に多いです。


バイオガイア

同様の概念で、バイオガイアという商品は、L.ロイテリ菌という善玉菌により、口腔内の細菌叢を整えるだけでなく、胃癌の原因とされるヘリコバクターピロリ菌を除菌したり、乳幼児のアトピー皮膚炎などのアレルギー発症を防ぐ効果も認められています。

自分に本当に必要なものを摂るには

病気になれば他人の手を借りることになります。健康で元気に生きる期間を長くするということ、 つまり健康寿命をのばしていくことは自分のみならず他人(介護者)の自立をも促すことが出来るのです。

まずは今自分がどういう生活習慣でどういう食生活か、そして何が不足しているのかを知り、不足しているものを補えば今よりもっと健康的な生活を手に入れることが出来るのです。人生を満喫するためにもいかに健康的に年をとるか、老化を出来るだけ遅くするか考えてみませんか?

そのためには、ご自分に何が必要か自己流に判断するのではなく、客観的に判断するための検査や診断が必要です。

当院では上記以外のサプリメントも多く扱っており、歯科医師および学会認定のサプリメントアドバイザーが患者様の疑問にお答えできますので、ご希望の方は気軽にご相談ください。