歯周の外科的処置

歯肉切除について

歯肉が通常以上に歯を被覆している場合、もしくは内科服用薬などの原因により後天的に増殖している場合に、審美的な問題、衛生的な問題が生じます。

降血圧剤、免疫抑制剤、抗てんかん薬の一種の服用薬では、歯肉増殖が一定の割合で生じることがわかっています。

この場合は、内科主治医と相談の上、歯肉切除による治療だけではなく、服用薬の変更も必要です。

歯冠長延長術

虫歯を除去した後には、被せ物(詰め物)を入れなければいけません。しかし、歯肉の下まで虫歯が進行してしまっている場合、それらの被せ物を歯肉の中まで入れなければいけません。

歯肉の中に被せ物を入れることで、体は体内に異物が入ってきたと認識し、被せ物を入れることで、常時歯肉に炎症が生じます。

これにより、治療をしたのにもかかわらず、痛み、違和感、出血などの症状が残ってしまいます。このような状況を回避するために、歯肉を含む歯周組織を切除することで、相対的に歯を歯肉の外に出すことできっちりとした被せ物を入れることができます。



歯の長さが短い。
かぶせ物が外れやすい。

歯肉剥離搔爬(しにくはくりそうは)手術(FOP手術)、歯槽骨整形手術

中等度から重度の歯周病の場合、歯周ポケット内部に歯石(細菌)が付着します。初期治療で非外科的にこれらの細菌の除去を行いますが、ポケットが深い場合は全てを取り除くことは不可能です。また、一度細菌を取り除いても、同じポケットが残っている場合、治療後に再度歯周病になってしまうため、外科的な治療が必要です。

日本の一般歯科医院では、外科的な治療を行う医院が少ないので、その結果、歯周病が自覚症状ないままに進行していくことが多いので注意が必要です。

最新歯周再生外科(歯肉や歯槽骨の再生手術)

歯周病治療やインプラント治療において、失われた歯肉や歯槽骨の再生手術を行っております。

歯周病で失われた歯周組織(歯肉、歯槽骨)に対して、場合によっては再生させることも可能です。 そのための再生材料が必要で、効果があると考えられている材料の組み合わせがいくつかあります。

  • ︎(1) エムドゲイン

  • (2) 遮断膜+人工骨

  • (3) リグロス

(1)エムドゲインや(2)人工骨は使われて久しくなりますが、最も新しい材料が、歯周組織再生のための薬剤として2016年に大阪大学が世界で初めて開発した(3)リグロスです。

当院では、現在効果のあると言われている治療法、全てに対応しており、それぞれの効果を最大限生かすために、状況に応じて、使用する材料、薬剤を使い分けております

抜歯

現在の再生医療ではまだまだ限界があります。そのため、再生治療で効果が見込めない場合は、抜歯という選択を行うこともあります。

もうどんな治療も歯周病が改善する見込みがない歯を抜歯せずにそのまま放置していると、口腔内の他部位に病気が移って行く可能性があります。

そのために、他の健康な歯まで歯周病に罹患してしまい、結果としてより多くの歯を失います 。治療をしないことで、歯を喪失するスピードが3倍になります。(Becker 1979, 1984) 歯科医院で、『歯を抜かずに治療しましょう』と言われると、安心する人が多いと思います。

しかし、問題を先送りにすることで、結果として『より早期に』、そして『より多くの』歯を喪失することになります。

抜歯という選択は、できる限り回避したいですが、他の歯を救うために抜歯という選択をして頂く必要があることをご理解頂ければと思います。