咬み合わせ治療
私たちが普段何気なく行っている些細なクセや習慣が、知らず知らずのあいだに歯や顎にダメージを与え、身体にさまざまな影響を与えていることがあります。
例えば、日中の食いしばりや睡眠中の歯ぎしり。通常、脳は歯や顎に負担をかけないように、噛む力を制限しています。しかし、日々のストレスなどによって歯ぎしりや食いしばりが生じると、固い食べ物を食べるときのおよそ8倍もの力が歯や顎に加わるのです。
こうした行為が習慣化し、たびたび繰り返されるようになると、歯や顎へのダメージは次第に蓄積され、顎関節や咬み合わせに問題を引き起こします。「顎に違和感がある」「慢性的な頭痛や肩こりを抱えている」という方は、こちらでご紹介する内容をぜひ参考にしてください。
悪い習慣が咬み合わせに悪影響をおよぼす
咬み合わせの悪化を招く3つの習慣 咬み合わせが悪くなる原因のほとんどは、私たちが普段何気なく行う習慣によるものです。特に、下記のようなクセや習慣がある方は、日常生活から十分に気をつけておく必要があるでしょう。
ストレスなどによる歯ぎしり・食いしばり
極度のプレッシャーやストレスは、無意識に口周りの筋肉がこわばらせ、睡眠中の歯ぎしりや日中の食いしばりを引き起こします。こうした行為が習慣化すると、歯に負担が蓄積して咬み合わせが悪化します。
姿勢の悪さ
いつも決まった方の足を上にして足を組む、いつも決まった方の肩にバッグを掛けている、いつも同じ方向を向いて寝ている、といったクセのある方は要注意です。こうした姿勢を繰り返していると、身体に歪みが生じて、咬み合わせにも影響が現れる場合があります。
頬杖や噛み癖などのクセ
咬み合わせが悪くなるクセの代表的な例として、「頬杖をつく」という行為があります。例えば、あなたはテレビを見るとき、いつも決まった方向に向いて頬杖をついて画面を見ていないでしょうか？
こうしたクセは、顔の一部に力が継続的に加わることで、骨が変形して咬み合わせに悪影響をおよぼす恐れがあります。また、食べ物を右の歯で噛むことが多い、といった「噛みグセ」にも注意が必要です。
咬み合わせの悪化がもたらす6つの悪影響 悪い習慣によって咬み合わせが悪化すると、以下のような悪影響が現れる場合があります。
虫歯になりやすい
咬み合わせの悪化は虫歯のリスクを高めます。通常、歯は噛むときに、歯と歯がぶつかることである程度の汚れを自然に落としてくれますが、咬み合わせが悪化すると歯のぶつかる面積が小さくなり、汚れが十分に落とされないことで虫歯になりやすくなります。
虫歯治療の詳細はこちら>>歯周病になりやすい
咬み合わせが悪いと、噛んでいる歯に負担がかかり、歯周病になりやすくなります。また、人は30歳を過ぎるあたりから身体の抵抗力が徐々に衰えてくるため、さらに歯周病のリスクが高まります。
歯周病治療の詳細はこちら>>しっかりと歯科治療を行うことが難しい
歯が凸凹していたり、斜めになっていると、普段のブラッシングが隅々まで行き届かないばかりでなく、歯科治療も困難になります。
顔に歪みが出やすくなる
片方の歯だけで噛むクセが習慣化して咬み合わせが悪化すると、顔の筋肉（表情筋や咀嚼筋）のバランスが崩れて顔が徐々に歪んできます。また、顔の筋肉の下にある骨は筋肉の厚みによって変形するため、結果的に顎の形も変わってしまう恐れがあります。
頭痛になりやすい
咬み合わせが悪いと、顎の関節から頭の横につながる筋肉（側頭筋）が緊張を起こし、慢性的な頭痛の原因になることがあります。
肩こりを引き起こしやすい
噛む筋肉がバランスを崩すと、首や肩にかけて繋がっている広頸筋（こうけいきん）に負担がかかり、肩が凝りやすくなります。
咬み合わせの治療法
当院の咬み合わせ治療では、咬み合わせの悪化によって生じるさまざまな症状を軽減・緩和するための治療を行います。咬み合わせの治療方法は、咬み合わせが悪くなった原因によって異なります。 まずは問診と検査によって原因を特定し、患者様1人ひとりに合った最善の治療プランをご提案いたします。
セルフケア
歯ぎしりや食いしばり、頬杖、猫背、うつぶせ寝といった日常的なクセや習慣が咬み合わせを悪くしている場合は、普段の生活習慣を見直すセルフケアが治療の中心となります。 基本は「顎に負担をかけないこと」を意識していただき、食いしばりや歯ぎしり、頬杖といったクセが出ないように注意してもらいます。また、片方の歯で噛むクセのある方は、両方の歯で均等に噛むようにご指導いたします。 さらに、関節まわりに加わった負担を解消するため、顎の筋肉の緊張をほぐすマッサージやストレッチ法についてもお伝えいたします。
鎮痛剤・消炎剤の処方
顎関節への負担が大きく、開口時に痛みが生じたり、炎症が起きている方には鎮痛剤や消炎剤をお渡しいたします。慢性化した炎症を抑え、痛みの緩和を図ります。
スプリント矯正
顎の正しい位置を身体に覚えさせるため、シリコンやレジンでできたマウスピースを作製し、装着していただきます。これにより、顎関節にかかる負担を軽減して咬み合わせを修復します。
マウスピースによる治療
睡眠中の歯ぎしりが歯を擦り減らし、これが原因となって咬み合わせが悪化している場合には、歯の摩耗を防ぐためのマウスピース（スリープスプリント）を作製し、就寝前に装着していただきます。また、すでに歯が激しく擦り減ってしまっている患者様には、仮歯や矯正、セラミックなどを使って擦り減った部分を補填するための治療を行う場合があります。