
「口の中に白いものができて、しみて痛い…」「食事がおいしく感じられない…」「話すのも億劫…」
皆さんも一度は、そんな辛い口内炎に悩まされた経験があるのではないでしょうか?
口内炎は、たった一つできるだけでも本当に憂鬱なものですよね。今回は、そんな厄介な口内炎がなぜできてしまうのか、そしてどうすれば予防できるのかを、皆さんの「お口のパートナー」である歯科衛生士の視点から、分かりやすく解説していきます!
そもそも「口内炎」って何?
口内炎とは、お口の中の粘膜(頬の内側、唇の裏、舌、歯ぐきなど)に起こる炎症の総称です。
一般的に「口内炎」としてよく知られているのは、白くて丸い、くぼんだ形をした**「アフタ性口内炎」**というものです。これができると、食べ物や飲み物がしみたり、歯ブラシが当たっただけで激痛が走ったりしますよね。
多くの場合、1〜2週間ほどで自然に治りますが、その間の不快感は相当なものです。できることなら、もう二度と経験したくない!というのが本音だと思います。
なぜできるの?口内炎の主な原因
「昨日まで何ともなかったのに、どうして急に…?」と思いますよね。実は、口内炎ができる原因は一つだけではありません。いくつかの要因が複雑に絡み合って発生することが多いのです。主な原因をみていきましょう。
1. 物理的な刺激(お口の中の傷)
これが最も分かりやすい原因かもしれません。
- うっかり頬や舌を噛んでしまった
- 硬い食べ物で粘膜を傷つけた
- 歯ブラシを強く当てすぎた
- 矯正装置や、合わない入れ歯・被せ物がこすれる
こうしてできた小さな傷に細菌が入り込むと、炎症を起こして口内炎に発展してしまうのです。
2. お口の中の環境(細菌の繁殖)
お口の中には、良い菌も悪い菌も含めて、常にたくさんの細菌が住んでいます。歯磨きが不十分で食べかすが残っていたり、磨き残し(プラーク)が多かったりすると、お口の中で細菌が繁殖しやすい環境になります。
このような不潔な状態だと、先ほどお話ししたようなほんの小さな傷からでも細菌が侵入しやすくなり、口内炎のリスクが高まってしまうのです。
3. 体のコンディション(免疫力の低下)
お口は、体の健康状態を映し出す「鏡」とも言われます。体の免疫力が落ちていると、口内炎ができやすくなります。
- ストレスや疲労の蓄積
- 睡眠不足
- 風邪などで体調を崩している時
- 栄養の偏り(特にビタミンB群の不足)
仕事が忙しい時期や、季節の変わり目などに口内炎ができやすい方は、体が「少し休んで!」というサインを送っているのかもしれません。
特に、皮膚や粘膜の健康を保つ働きのあるビタミンB2、B6、B12などが不足すると、口内炎ができやすくなると言われています。
4. その他の原因
他にも、特定の食品に対するアレルギー反応や、女性の場合はホルモンバランスの乱れなどが原因となることもあります。
今日からできる!口内炎を徹底予防する3つの習慣
原因が分かったところで、次は具体的な予防法です。毎日のちょっとした心がけで、口内炎のできにくいお口と体を目指しましょう!
習慣1:【最重要!】お口の中を清潔に保つ
口内炎予防の基本中の基本は、何と言っても丁寧なオーラルケアです。細菌の温床となるプラークをしっかり取り除きましょう。
- 優しい力でブラッシング:歯ブラシは「やわらかめ」を選び、ゴシゴシ磨きはNGです。鉛筆を持つように軽く握り、歯と歯ぐきの境目を優しく丁寧に磨きましょう。粘膜を傷つけないことにも繋がります。
- 歯間ケアをプラス:歯ブラシだけでは、歯と歯の間の汚れは6割程度しか取れません。デンタルフロスや歯間ブラシを毎日使う習慣をつけ、細菌のエサになる食べかすを徹底的に除去しましょう。
- 舌もキレイに:舌の表面にも汚れ(舌苔:ぜったい)が溜まります。舌専用のブラシで、奥から手前に優しくなでるように清掃するのも効果的です。
習慣2:粘膜を傷つけない工夫をする
うっかり傷を作ってしまうのを防ぎましょう。
- ゆっくり、よく噛んで食べる:慌てて食事をすると、頬の内側を噛みやすくなります。
- 歯科医院でチェックを受ける:もし「いつも同じ場所が口内炎になる」という場合は、尖った歯や、合わなくなった入れ歯・被せ物が原因かもしれません。我慢せずに、かかりつけの歯科医院で相談してください。調整するだけで劇的に改善することがあります。
習慣3:体の内側からコンディションを整える
免疫力を高く保つことも、口内炎予防には欠かせません。
- バランスの良い食事:粘膜の健康を守る「ビタミンB群」を意識的に摂りましょう。レバー、うなぎ、豚肉、卵、納豆、乳製品、緑黄色野菜などに多く含まれています。
- 十分な睡眠と休養:疲れを溜めないことが大切です。リラックスできる時間を作り、心と体をしっかり休ませてあげましょう。
もし、できてしまったら…?
予防していても、体調によってはできてしまうこともあります。そんな時は、以下のことを試してみてください。
- 刺激物を避ける:香辛料の多いもの、酸っぱいもの、熱すぎるものなどは、しみて痛みを悪化させるので控えましょう。
- 市販薬を上手に使う:ドラッグストアには、塗るタイプや貼るタイプの口内炎治療薬があります。痛みを和らげ、治りを助けてくれます。
- お口を清潔に保つ:痛くても、歯磨きは優しく続けましょう。刺激の少ない洗口液(マウスウォッシュ)でうがいをするのも良いでしょう。
【注意!】こんな口内炎は歯医者さんへ
ほとんどの口内炎は心配いりませんが、以下のような場合は、自己判断せずに必ず歯科医院を受診してください。
- 2週間以上経っても治らない
- 範囲がどんどん広がっていく、数がとても多い
- 痛みがひどく、食事や水分がとれない
- 頻繁に繰り返しできる
- 熱が出たり、リンパが腫れたりする
稀に、口内炎だと思っていたものが、他の病気のサインである可能性もあります。心配な時は、私たち専門家を頼ってくださいね。
まとめ

口内炎は、「お口の傷」「細菌の繁殖」「体の疲れ」という3つの要因が重なった時にできやすくなります。
日々の丁寧な歯磨きで細菌を減らし、規則正しい生活で免疫力をキープすることが、何よりの予防策です。
痛い口内炎とさよならして、毎日おいしく食事を楽しみ、笑顔でおしゃべりができる快適な毎日を送りましょう!
お口のことで何かお困りのことがあれば、いつでもお気軽に私たち歯科衛生士にご相談くださいね。