歯科衛生士コラム『お口の中の気になる話』

第13回 口腔乾燥は万病の元?

2025.06.13

口腔乾燥(ドライマウス)は、女性が閉経を迎える時期(更年期)に多くみられる症状の一つです

更年期にはホルモンバランス(エストロゲン)の減少が頭著になります。これが唾液にも影響を与え、唾液の分泌が減少することで口腔内の乾燥感が強くなる事があります。

その他、若い人や男性であっても、過度のストレス等で交感神経が優位になることで副交感神経が支配する唾液の分泌が減少する原因の一つとされています。

1.口腔乾燥の症状

・口の中の唾液が少なく、常に乾燥している感覚

・口臭を自分で感じる

・食べ物が飲み込みにくい

・味覚が感じにくくなる

・唇や舌などの粘膜が傷つきやすくなり、痛みやヒリヒリ感を感じる

細菌感染リスクが高まり虫歯や歯周病が悪化しやすくなる。悪化すると喉や気道の感染からウイルス感染症にもかかりやすくなる。

 

2.唾液の種類

唾液には、ネバネバ唾液と、サラサラ唾液がありそれぞれ成分と分泌される状況が異なり、口腔内で異なる役割を果たしています。

【ネバネバ唾液】

成分:ムチンという粘性の高い成分が多く含まれ、粘り気が強い。

分泌される場所:主に耳下腺や顎下腺から分泌。

役割:粘り気があるため、口腔内の保護や食べ物が歯や口内の粘膜に当たる衝撃を和らげる。消化を助けるというよりは、口内の保湿と保護が目的。

分泌される状況:緊張状態やストレスを感じたときなどに多く分泌される傾向があります。

【サラサラ唾液】

成分:水分が多く含まれ、比較的粘性が低い。

分泌される場所:主に顎下腺や舌下腺から分泌。

役割:食べ物を口内で流しやすくし、消化酵素アミラーゼによってデンプンを分解し、消化をサポート。味覚のサポートや口腔内の洗浄にも役立つ。

分泌される状況:リラックスした状態や食事中に多く分泌されます。

このように、ネバネバ唾液とサラサラ唾液は成分や分泌される状況が異なり、さまざまな役割を果たして口腔内の健康を維持しています。

 

3.唾液の性質と働き

唾液は、口腔内で分泌される消化液であり、主に以下のような性質と機能を持っています。

消化の補助:唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれ、特にデンプンの分解を助けます。これにより、口腔内で食物がある程度消化され、消化器官に負担を減らすことができます。

口腔内の保護と潤滑:唾液にはムチンという粘性物質が含まれており、食べ物が滑らかに移動するのを助け、口内の粘膜を保護します。

酸・アルカリの中和:唾液には重炭酸イオンが含まれており、口腔内の酸やアルカリを中和し、口内のpHバランスを保ちます。これにより、歯のエナメル質が酸で溶けるのを防ぎます。

抗菌作用:唾液にはリゾチームやラクトフェリンなどの抗菌成分が含まれ、口腔内の細菌の増殖を抑える働きがあります。

味覚のサポート:唾液は食べ物の成分を溶解し、味蕾に届けることで味覚を感じやすくする役割も担っています。

体内の水分調整:唾液の分泌は、体内の水分バランスを調整する役割も持っています。

 

4.ドライマウスの予防と対策

水分補給:こまめに水分を摂取することをおススメします。

お茶やコーヒーは利尿効果があるので、お薦めいたしません。

唾液腺刺激と口腔保湿:口腔粘膜にある唾液腺を促すため無糖のキシリトールガムを噛んだり、口腔保湿スプレーを使用するのも効果的です。

食生活の見直し:辛いものや塩味の強い物は避けましょう。唾液の分泌を促す食材(レモンやハーブなど)を取り入れる事をお薦めいたします。

生活習慣の改善:禁煙やアルコールの制限、ストレスの軽減も口腔乾燥の予防に繋がります

唾液腺の衰えは老化すなわち細胞の酸化蓄積によるものです。酸化した細胞を還元する抗酸化作用のある食品やサプリメントを習慣的に摂取することをお薦めします。

歯科医師への相談:症状が深刻な場合は、歯科医師に相談することをお薦めいたします。更年期によるホルモン変化が原因であることが多いですが、他の要因(薬の副作用や全身の病気)が関与している場合もありますので医療機関での診療を受けることを推奨します。

 

唾液は私たちの体の美容液とも言われています

健康維持に欠かせないものです

お口の変化にいち早く気づくことも大切になってきます!

当院では、口腔乾燥に最適なサプリメントやホームケアー用品などをご用意しております。

お気軽にスタッフまでお声がけください。

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