皆さん、むし歯治療の途中で、仮の詰め物とか仮歯(かりば)とか入れてもらったことありませんか?
「仮の物じゃなくて、すぐに本物を入れてよ!」と思われるのはご了承ください。
しかし、残念ながら歯科で即日に詰めたり被せたりできる素材は、レジンと呼ばれるプラスチックの材質で、強度が弱く噛む力が強い歯には向いていません。 前歯や虫歯が小さな治療向きの治療なのです。
「確かに、穴が開いている部分に仮の詰め物は入れても食べないと食べかすが詰まるからわかるけど、かぶせの仮歯は別に入れなくていいんじゃない?」
と思っている人もいないのか?
いえ、いえ、かぶせの仮歯も非常に大切な役目があるので、今回はそのご説明をしますね。
★ちなみに、この仮詰めも仮歯もレジンと言うプラスチックの種類です。
インフレータブルした「強度を必要としない治療用のレジン」とは違って、仮歯のレジンは、「歯にくっつきにくい除去しやすい」「お口の中で即席に作りやすい」「とりあえず持ちにくい」性質のものです。
見た目をよくする
歯の治療中に見た目を気にするため、仮歯は重要です。 特に前歯の治療中にかぶれる歯がない状態だと、とても真剣に考えております。
歯の移動を防ぐ
かぶせ物が入っていないということは歯と歯の間に隙間があるということです。
隙間があると、歯は隙間がある側へ徐々に動いたり傾いたりすることが多いことを考えますか?
これを歯の移動といいます。
歯が移動するのは、治療中の歯だけではなく、治療中の歯と噛み合っている反対側の歯も上下に移動してしまうことがございます。
途中出来上がってきた最終的なかぶせ物が入る隙間が不足してうまく入らず、また作り直しが必要になります。最終的なかぶせ物が上がるまでの間は、治療中の歯や周囲の歯が動いてしまわないように仮歯を確保することは非常に重要なのです。
歯を悪い刺激から守る
歯を削った表面は象牙質という歯質で、歯の中の神経(歯(し)髄(ずい))に近いため、飲食時や患者様自身の呼吸・熱刺激や歯ブラシ時の摩擦刺激などで痛みが出てしまいます。
また、この象歯質は細菌に弱い歯質なので、直接唾液に触れることで細菌する危険もあります。
食事や通話のサポート
歯を削ったのに仮歯を入れないと、歯が痛かったり、歯と歯がかみ合わないために普段より噛みにくい、食事に気を使わなくてはなりません。は、仮歯を入れなかったばかりに、反対側の歯だけ使い過ぎて、顎関節を発症してしまうこともあります。
最終的なかぶせ物を入れる前のお試し
最終的なかぶせ物を作る前に、仮歯で本当にその噛み合わせや形でよいのか、歯ぐきに悪い影響を与えていないか、歯磨きがしにくいかなどを確認することで、最終的な被せ物作成の参考にします。
仮歯は治療完了までのご自分の歯
仮歯は一時的なものでありながら、治療完了までの見た目や機能性、そして最終かぶせ物を長く快適に使っていただける結果を考慮して重要な役割があることをご理解いただけますか?
仮歯なので、治療途中では離れることもあります。
面倒だから、最終のかぶせ物を入れる日までそのまま放置すると、仮歯の重要な役割を果たせません。
とりあえず入れた仮歯が最後まで活躍をまっとうするまでは、ご自分の歯と思って大切に使い続けてね。