歯科衛生士コラム『お口の中の気になる話』

第2回 歯茎が変な時

2019.03.28
第2回 歯茎が変な時

笑った時に白い歯が好きをもたれたことは前回書きましたが、笑った時に歯だけでなく歯ぐきも見えることがあります。

歯は黄ばんでいたり、むし歯で黒ずんでいたらイメージダウンですが、歯ぐきはどんな状態でも良くないのですか?

歯のことは大丈夫、案外歯ぐきのチェックはおざなりになっていませんか?

歯ぐきの病気なんて自分とは縁がないと思っていませんか?

今回は、歯のため縁の下の力持ち『歯ぐき』についてのお話です。

それにしても歯ぐきって何?

鏡でお口の中を覗くと歯の周囲に、根元を取り囲むように見えます。 歯肉(しにく)とも呼ばれています(以下歯肉と記載します)。

歯とは全く別の組織ですが、歯を維持する歯周組織のひとつです。

歯肉って何のためにあるの?

歯科医院を巡る不名誉な噂とは?

歯は、歯肉から直接生えているのではなく実際は歯骨(しそうこ:顎の骨のうち歯を支える骨)に植わっているのですが、この歯槽骨を覆う保護する役割が歯肉にはあります。

これにより、歯肉が無かったら食事のときの咀嚼の力や動き歯や歯槽骨を痛めつけてしまうことになります。

歯肉には歯や歯槽骨を守る働きのほかに、免疫としてのバリア機構もあります。

新陳代謝によって歯肉の表面には、たくさんの細菌が一瞬付着し痛い、歯肉の細胞の間には、外部からの細菌や毒素などと戦う分解する細胞がたくさん遊走しているので歯肉の健康が保たれているのです。

歯肉はなぜ赤いの?

実はお口の粘膜は血液がとても薄いのですぐ下にある血管、周りの色が透けて見えているからなのです。

さて、私たちは毎日お風呂に入ります。 寒い時期ですと、入浴前は血行不良で肌が青い白い人も、湯船に浸かり血行がよくなり血流がよくある場合肌の色が淡い赤みが出てきます。

熱過ぎてやけどをすると肌は炎症を起こして赤くなってしまいます。

同じように歯肉も血液循環によって色が違ってきます。

また、タバコを吸う人では血中酸素が減り、ヘモグロビンが二酸化炭素と結合することでうっ血しているので青味がかった紫色のような歯肉の色をしています。

正常な歯肉の状態は?

歯肉の正常な状態を知らないと、異常に気づいたのが遅れております。

歯肉は歯周組織の一番外側の粘膜で、歯肉の大部分で動かない部分は付着歯肉、歯の際の少し動く部分は遊離歯肉、歯と歯の間の三角形の位置は乳頭歯肉といいます。

色は淡いピンク色。健康な歯肉には、まるでみかんの皮のようなプツプツとしたスティップリングと呼ばれる小さなへこみが点在しています。そして、歯と歯肉の間には浅いすきま=歯肉溝(歯周ポケット)があります。

歯肉の病気はどんなものがあるの?

外からの刺激や細菌に強いイメージの歯肉ですが、それでも病気になることがあります。

なんといっても、歯科での三大疾患の一つであり、虫歯、顎関節症と並んで有名な歯周病(歯槽膿漏)です。

誰が認めてもおかしくない可能性の高い歯肉の病気のひとつです。

これについては次回に詳しくお話します。
歯肉の他の病気で代表的なものを挙げてみましょう。

1. 歯肉が腫れる病気

根尖性膿瘍(こんせんせいのうよう)、歯根嚢細胞(しこんのうほう)などの歯根由来の炎症

虫歯や打撲したことによって歯の神経が死んでしまったり、根の治療が途中で放置してしまったり、以前に神経を取っている歯が様々な原因で感染を起こした場合に、歯の根の先端(根尖)に膿がたまってしまいます。

歯肉にニキビのような腫れができたり、時々痛んだり大きく腫れてくることがあります。

水病性・ウイルス性のもの

単純
ヘルペスウイルス感染による疱疹もので、口唇の周囲の皮膚・口唇粘膜・歯肉・上あごの粘膜などに小さな水疱が多くできます。

薬剤によるもの

・フェニトイン歯肉増殖症
抗てんかん薬のフェニトインを長く服用すると、服用者の約半数に歯肉が増殖します。 最初は主に前歯の部分の歯肉(特に歯間乳頭:歯と歯の間の三角形の部分)が赤く盛り上がり、やがて増殖してきます。

悪性腫瘍

・歯肉癌
口腔癌の中では舌癌にはそのうち多く見られます。初期には歯周病との見分けが難しいことがあります。

悪性腫瘍には癌以外に、HIV感染者に見られるカオポジ肉腫などもあります。紫色や茶色でわずかに隆起しています。

歯肉炎

歯肉炎は、歯肉にのみ限局して炎症がある状態です。

2. 歯肉が平らのまま出来る病気

口内炎

・アフタ性口内炎
2~10mmの境界直径のはっきりとした円形の潰瘍で強い接触痛があります。口腔粘膜に再発を繰り返すことが多いですが通常1~2週間で治癒します。

・壊死性潰瘍性口内炎
体調を崩し抵抗力が弱まった時などに細菌感染により、歯肉にできる潰瘍で、強い自発痛や接触痛があり、出血することもあります。

色素沈着症

・メラニン性色素沈着
メラニン色素によるものでは内因性(体の中からが原因)の場合が最も多い。 色は褐色・黒褐色で前歯の表側の歯肉に多くみられます。 斑自体に病的ということはほとんどありません。

・ 重金属沈着
外来性の場合、色は青色・灰で黒色である歯と歯肉の境い目に帯状態に見られる。

・平扁苔
害よくできるのは頬の粘膜で、左右両方に起こることが多い

角化異常

・白板症
白い色をしており、板状やまだら模様に見られ、歯肉や頬の粘膜・舌にも多く見られます。はありません。
40歳以上の人に痛みが多く見られ、一部癌化する場合もあり前癌病の変とされています。歯肉は口を覗けば当たり前にあるものですが、このようにいろんな働きがあり身体についてのさまざまな情報が詰まっています。

一般に歯科では歯の治療が主と思われますが、歯肉やその他の粘膜組織の治療も行っています。

違和感を感じたり、気になる症状があるときはもちろん、現存症状がなくても見た目の変化に気付いた時は早めの入場でお口の健康をじっくり考えましょう。

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